顕彰馬

★G1競走で原則として3勝以上。
★または、それに準じる成績で産駒が種牡馬は5頭以上、繁殖牝馬は2頭以上輩出していること。
★国際的に活躍、記録性、話題性、大衆性において中央競馬の評価、発展に貢献したもの。
DATEはJRA競馬博物館メモリアルホールのパンフレットからです。
★テイエムオペラオー以前の馬齢表記は旧馬齢表記です。

クモハタ セントライト クリフジ トキツカゼ
トサミドリ トキノミノル ハクチカラ セイユウ
コダマ シンザン スピードシンボリ グランドマーチス
ハイセイコー トウショウボーイ テンポイント マルゼンスキー
ミスターシービー シンボリルドルフ メジロラモーヌ オグリキャップ
メジロマックイーン トウカイテイオー ナリタブライアン タイキシャトル
タケシバオー テイエムオペラオー  
 

クモハタタ

牡馬栗毛
1936〜1953   
父:トウヌソル
母:星旗
生産:
千葉 下総御料牧場
馬主:加藤雄策
調教師:田中和一郎
厩務員:堀留吉
通算成績:
29戦9勝
総収得賞金額:
74,414円
騎手:
阿部正太郎
主な勝ち鞍:
東京優駿(日本ダービー)











主な産駒:
カツフジ(天皇賞・秋)
ニューフォード(菊花賞、天皇賞・秋)
ヤシマドオター(桜花賞、天皇賞・秋)
ハタカゼ(天皇賞・秋)
キヨフジ(オークス)
ミツハタ(天皇賞・春)
ワカクサ(阪神3歳S)
クインナルビー(天皇賞・秋)
タカハタ(朝日杯3歳S)
メイヂヒカリ(朝日杯3歳S、菊花賞、天皇賞・春、中山グランプリ)
ヤマカブト(中山大障害)
ケニイモア(中山大障害2回)
解説
  戦前から戦後にかけての大種牡馬。いわゆる四白流星(馬の4本の足首が白毛)の栗毛だったそうで、きれいな馬だったのだろう。当時の日本の生産界は、今以上に内国産が冷遇された時代。にもかかわらず、5度のリーディングサイヤーに輝いたことは特筆に価する。
  クモハタはもともと下総のセリで最高価格で取引されたエリートだったが、3歳の始めに蹄の病気を患い、歩くのもままならなかったそうだ。しかもきわめて神経質な性格で、飼葉桶の中にネズミの糞が一つでもまざっていたなら決して飼い葉を口にすることはなかったという。調教師は飼葉桶の上にぬれ手ぬぐいをかけてネズミを防いだというエピソードがその扱い難さを良く表している。デビューは大幅に遅れてようやくデビューできたのは5月20日の新馬戦。このレースでは2着に敗れたが、1週間後の新馬戦で1着になった。しかし、それは日本ダービーの2日前。勝つには勝ったがいよいよ状態はひどくなり、飼い葉も食べなくなってしまった。とてもダービーに出せる状態ではなかったが、ダービーに出さなくてはこの馬を手に入れた意味の半分を失うとして馬主の加藤雄策はダービー出走を強行。痛みを押さえるために局部注射を施したり、飼い葉の代わりに鼻から豆乳を注入したりと、今では考えられないようなことをしたという。そして、ダービー当日。クモハタは2着に1馬身の差をつけてダービーを制してしまった。当然ながら人気はなく、単勝馬券は最高10倍の200円をつけ、さらに余った分は特配として不的中者に払い戻された。馬券が20円で売られていたときに特配は11円をつけた。これは今の万馬券以上の衝撃だったという。
  ダービー後もクモハタの病弱ぶりは続く。29戦中万全の状態で出走できたことはほとんど稀であったという。先に述べたように、この馬の真価は引退後繁殖入りしてからである。天皇賞馬7頭をはじめとして菊花賞馬2頭、桜花賞、オークス馬各1頭、重賞を勝った馬は上げればきりがない。この功績が認められて顕彰馬入りしたと言える。晩年クモハタは伝染性貧血(伝貧)の診断を受け、薬殺処分になってしまった。仕方がないとはいえ、非常に残念な最期である。
 

セントライト

牡馬黒鹿毛
1938〜1965
父:ダイオライト
母:フリッパンシー
生産:
岩手 小岩井農場
馬主:加藤雄策
調教師:田中和一郎
厩務員:山崎友次郎
通算成績:
12戦9勝
総収得賞金額:
87,400円
騎手:
小西喜蔵、 阿部正太郎
主な勝ち鞍:
横浜農林省賞典四歳呼馬(皐月賞)
東京優駿(日本ダービー)
京都農林省賞典四歳呼馬(菊花賞)
主な産駒:
オーライト(天皇賞・春)
オーエンス(天皇賞・春)
セントオー(菊花賞)
ニュージャパン(中山大障害)
解説
 日本競馬史上、最初の三冠馬。三冠とは、4歳時にだけ出走できる皐月賞、日本ダービー、菊花賞を指し、現在のところ日本には5頭しか前例ない。非常に大きな馬で、当時の競馬の主目的である軍馬改良の方針にそぐわない大きさであると、デビューが危ぶまれたこともあると言う。その為セリでは低い評価だったそうで、主戦騎手である小西氏が馬主の加藤氏に購入を勧めたという話が残っている。デビューは皐月賞の2週間前で、このデビューも小西氏が勧めたそうだ。彼がセントライトに三冠を取らせたと言っても過言ではない。三冠レースはどれも圧勝で、特にダービーでは2着に八馬身差をつけた。京都農林省賞典四歳呼馬(菊花賞)後、セントライトはすぐに引退している。当時の大レースと言うと、古馬には天皇賞(帝室御賞典)くらいかしかなく、しかも斤量を背負わさされてしまうからだ。菊花賞前のオープン戦ではなんと68kgも背負わされ2着に敗れている。引退後、セントライトは故郷の小岩井牧場に戻り、天皇賞馬やクラシックホースを出した。後に岩手の牧場に移り、余生を送った。戦前の名馬であり、戦後と比較するには難しいが、セントライト以後28年間、三冠馬が出現しなかったことを考えると、やはり歴史的な名馬であったといえよう。
 

クリフジ

牝馬栗毛
1940〜1964
父:トウヌソル
母:賢藤
生産:
千葉 下総御料牧場
馬主:栗林友二
調教師:尾形藤吉
厩務員:酒井銀次
通算成績:
11戦11勝
総収得賞金額:
73,200円
騎手:
前田長吉
主な勝ち鞍:
東京優駿(日本ダービー)
阪神優駿牝馬(オークス)
京都農商省賞典四歳呼馬(菊花賞)
主な産駒:
ヤマイチ(桜花賞、オークス)

解説
 どの馬が史上最強か、と言う話になると、必ず出てくる名馬。11連勝は今でも中央競馬に燦然と輝く連勝記録である。内容も素晴らしく、新馬戦を1馬身差で勝ったのが最短で、あとは大差2回、10馬身4回、6馬身2回、5.3馬身1回という凄まじさ。ダービーでは当時のレコードを1秒6も縮めた。それも、スタートで出遅れてである。ダービーだけでなくオークスも勝っているのは、当時オークスが秋の阪神競馬場で行われていたからだ。このころ、仕上がり早の牝馬が春のダービーで活躍することが多く、その為にオークスはダービー1週間前に変更されたといういきさつがある。ダービー、オークス、菊花賞の3つを勝った、いわゆる変則三冠はおそらくこの馬以外に今後生まれることはないだろう。非常に大きな馬で、当時の牡馬の平均を上回る巨体だったという。おそらく500kgを超えていたのではないだろうか。繁殖馬としては二冠牝馬ヤマイチを出し、その名を残している。馬主はライスシャワーの馬主として有名な栗林英雄氏の父。
 

トキツカゼ

牝馬鹿毛
1944〜1966
父:プリメロ
母:第五マンナ
生産:
青森 益田牧場
馬主:川口鷲太郎
調教師:大久保房松
厩務員:千石重次郎
通算成績:
30戦11勝
総収得賞金額:
1,315,810円
騎手:
佐藤嘉秋
主な勝ち鞍:
農林省賞典(皐月賞)
優駿牝馬(オークス)
主な産駒:
オートキツ(日本ダービー)
オンワードゼア(天皇賞・春、有馬記念)
解説
 牝馬ながら牡馬相手に皐月賞を勝ち、オークスを制覇。当時はオークスが秋に開催されており、春には仕上がり早の牝馬が牡馬より有利な面があったとはいえ、大変な偉業である。第14回日本ダービーにももちろん出走したが、惜しくも頭差の2着だった。さらにこの馬の評価を高めたのが子供たちの活躍である。繁殖牝馬としてダービー馬オートキツや天皇賞馬オンワードゼアを排出した。ともに年度代表馬に選出されている。競争成績と繁殖成績という、両立し難いものを両立させているとことがこの馬の最大の功績なのである。
 

トサミドリ

牡馬鹿毛
1946〜1970
父:プリメロ
母:フリッパンシー
生産:
青森 盛田牧場
馬主:斎藤健二郎
調教師:望月与一郎
厩務員:伊藤茂利
通算成績:
31戦21勝
総収得賞金額:
5,494,060円
騎手:
浅野武志、 田中康三、 小溝秋吉
主な勝ち鞍:
皐月賞
菊花賞













主な産駒:
キタノオー(朝日杯3歳S、菊花賞、天皇賞・春)
トサモアー(阪神3歳S)
キタノヒカリ(朝日杯3歳S)
メイジミドリ(阪神3歳S)
トサオー(天皇賞・春)
コマツヒカリ(日本ダービー)
ガーネット(天皇賞・秋、有馬記念)
マツガゼオー(朝日杯3歳S)
キタノオーザ(菊花賞)
ホマレボシ(安田記念、有馬記念)
ヒロキミ(菊花賞)
オータジマ(中山大障害)
ハルボー(中山大障害)
トサキング(中山大障害)
フェニックス(中山大障害)
ライトリア(中山大障害)
解説
 競走馬としても、皐月賞、菊花賞を制した二冠馬だが、それ以上に産駒成績がすばらしい。内国産種牡馬としての確固たる地位がうかがえる。その影響は、産駒を通してなお現在の競馬界に大きな影響を与えている。
 

トキノミノル

牡馬鹿毛
1948〜1951
父:セフト
母:第弐タイランツクヰーン
生産:
北海道三石
本桐牧場
馬主:永田雅一
調教師:田中和一郎
厩務員:村田庄助
通算成績:
10戦10勝
総収得賞金額:
4,257,150円
騎手:
岩下密政
主な勝ち鞍:
朝日杯3歳S
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
主な産駒:


解説
 デビュー戦では「パーフェクト」という名だった。馬主の永田雅一は映画会社大映の社長。10戦10勝でダービーを勝ったあと、破傷風で死亡したトキノミノルの生涯は、彼自らによって「幻の馬」という映画で描かれた。今でも悲劇の馬として有名で、東京競馬場には銅像も建てられている。
 

メイヂヒカリ

牡馬鹿毛
1952〜1980
父:クモハタ
母:シラハタ
生産:
北海道三石
大塚牧場
馬主:新田松江
調教師:藤本冨良
厩務員:野口啓三
通算成績:
21戦16勝
総収得賞金額:
10,427,040円
騎手:
蛯名武五郎、 藤本勝彦
主な勝ち鞍:



主な産駒:
朝日杯3歳S
菊花賞
天皇賞・春
中山グランプリ(有馬記念)
解説
 脚部不安により4歳春は不出走。しかし、菊花賞ではダービー馬オートキツを10馬身も突き放す楽勝劇を演じる。5歳時にも天皇賞・春や有馬記念に勝ち、常にトップクラスの実力を持ちつづけた。
 

ハクチカラ

牡馬栗毛
1953〜1979
父:トビサクラ
母:昇城
生産:
北海道浦河
ヤシマ牧場
馬主:西博
調教師:尾形藤吉
厩務員:中沢徳次
通算成績:
日本:32戦20勝
アメリカ:17戦1勝
総収得賞金額:
16,568,070円
騎手:
保田隆芳、 八木沢勝美
主な勝ち鞍:
東京優駿(日本ダービー)
天皇賞・秋
有馬記念
ワシントン・バースデー・ハンデ
主な産駒:
インドに輸出され、多くのクラシック馬を輩出


解説
 昭和34年、ワシントン・バースデー・ハンデに優勝。これは、日本馬による初めての海外重賞競走制覇である。その後36年間、日本馬の海外重賞を勝つことは無かったのだから、その偉業がよくわかる。昭和43年インドに寄贈され、インドで様々なクラシック馬の父となった。
 

セイユウ

牡馬鹿毛
1954〜1977
父:ライジングフレーム
母:弟猛(アングロアラブ)
生産:
北海道浦河
日高種畜牧場
馬主:河野通
調教師:稲葉秀男
厩務員:仲口芳美
通算成績:
49戦26勝
(うちサラ戦24戦5勝)
総収得賞金額:
7,585,740円
騎手:
高松三太、 二本柳俊夫、 梶与四松、 蛯名武五郎、 八木沢勝美
主な勝ち鞍:
七夕賞
福島記念
セントライト記念
主な産駒:
ヒメカップ(タマツバキ記念二回)
オーギ(読売カップ二回、アラブ王冠)
解説
 サラブレッド種と違い、丈夫だがスピードが遅いアラブ種。しかし、セイユウはサラブレッド並みの実力をかなえ備えていた。サラブレッド相手に3つも重賞を勝った例は、中央競馬では後にも先にもない。1995年までその名を冠してアラブ限定の重賞セイユウ記念が行われていた。
 

コダマ

牡馬栗毛
1957〜1976
父:ブッフラー
母:シラオキ
生産:
北海道浦河
伊藤由五郎
馬主:伊藤由五郎
調教師:武田文吾
厩務員:吉沢彦二
通算成績:
17戦12勝
総収得賞金額:
15,570,000円
騎手:
栗田勝、 渡辺正人、 鶴留明雄
主な勝ち鞍:
阪神3歳S
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
宝塚記念
主な産駒:
ヒデコトブキ(桜花賞)


解説
 明るい栗毛に大きな流星。そして、天性のスピード。デビュー以来連勝を重ね、“トキノミノルの再来”と言われた。そのスター性は、競馬ブームを引き起こすきっかけとなった。
 

シンザン

牡馬鹿毛
1961〜1996
父:ヒンドスタン
母:ハヤノボリ
生産:
北海道浦河
松橋吉松
馬主:橋元幸吉
調教師:武田文吾
厩務員:中尾謙太郎
通算成績:
19戦15勝
総収得賞金額:
60,219,700円
騎手:
栗田勝、 松本善登、 武田博
主な勝ち鞍:
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
菊花賞
宝塚記念
天皇賞・秋
有馬記念
主な産駒:
ロイヤルシンザン(安田記念)
ミナガワマンナ(菊花賞)
ミホシンザン(皐月賞、菊花賞、天皇賞・春)


解説
 セントライト以来、23年ぶり二頭目、戦後初の三冠馬。日本競馬界の至宝と言っても過言ではない。負けた4戦ははいずれも2着で、19戦連続連対は今も残る日本記録。その2着も大レース前の調整レース(当時は調教代わりにオープンレースに出走させることがよくあった)で、実力で負けたわけではない。後肢だけで人を乗せて10mも歩いたとか、まるで競馬のルールを知っているのかのように決して大差勝ちせずきっちり差して勝つなど、逸話は数多い。競走成績だけでなく、優秀な産駒を輩出しつづけ、輸入種牡馬に頼りきっていた日本の生産界を変えた。36歳(数え年)は、日本のサラブレッドの最長寿記録。長年、“シンザンを越えろ”が、競馬界の合言葉だった。
 

スピードシンボリ

牡馬黒鹿毛
1963〜1989
父:ロイヤルチャージャー
母:スイートイン
生産:
北海道新冠
シンボリ牧場
馬主:和田共弘
調教師:野平省三
厩務員:伊藤信夫
通算成績:
日本:39戦17勝
海外:4戦0勝
総収得賞金額:
163,207,050円
騎手:
野平祐二、 津田昭
主な勝ち鞍:
天皇賞・春
有馬記念2回
宝塚記念
主な産駒:


解説
 ハクチカラ以来、日本競馬は海外競馬で勝つことができなかった。自然と海外遠征することはなくなってしまったがそんな時代にスピードシンボリはアメリカ、ヨーロッパの大レースに遠征した。勝つことはできなかったが、その時のノウハウは今でも受け継がれている。ちなみに、有馬記念は7歳、8歳時の連覇であり、“無事是名馬”の代表的名馬と言える。その血は、皇帝シンボリルドルフの母系を通して、今も息づいている。
 

グランドマーチス

牡馬栗毛
1969〜1984
父:ネヴァービート
母:ミスギンオー
生産:
北海道新冠
中央牧場
馬主:
大久保興産株式会社
調教師:伊藤修司
厩務員:宮本保一
通算成績:
63戦23勝
(障害39戦19勝)
総収得賞金額:
343,388,200円
騎手:
寺井千万基、福永洋一、法理弘
主な勝ち鞍:
中山大障害4回
京都大障害3回
主な産駒:

解説
 障害39戦して、一度も落馬なし。まさに飛越の天才。60キロ台のの負担重量を背負わされ続けても、グランドマーチスは勝ちつづけた。1999年度から障害レースにも格付けがなされたが、そうするとJG1を4勝したことになる。
 

ハイセイコー

牡馬鹿毛
1970〜2000
父:チャイナロック
母:ハイユウ
生産:
北海道新冠
武田牧場
馬主:ホースマン
調教師:鈴木勝太郎
厩務員:大場博
通算成績:
地方:6戦6勝
中央:16戦7勝
総収得賞金額:
219,539,600円
騎手:
増沢末夫
主な勝ち鞍:
地方:青雲賞
中央:皐月賞
 宝塚記念
主な産駒:
カツラノハイセイコ(日本ダービー、天皇賞・春)
サンドピアリス(エリザベス女王杯)
ハクタイセイ(皐月賞)
解説
 日本中に大ブームを巻き起こした、元祖アイドルホース。地方からエリートの中央に挑戦し、快進撃を繰り広げる、という構図で、社会現象化した。“さらば、ハイセイコー”というレコードまで発売された。種牡馬としても成功し、つい最近まで現役だった。2000年5月死亡。
 

トウショウボーイ

牡馬鹿毛
1973〜1992
父:テスコボーイ
母:ソシアルバターフライ
生産:
北海道静内
藤正牧場
馬主:トウショウ産業株式会社
調教師:保田隆芳
厩務員:長沼昭二
通算成績:
15戦10勝
総収得賞金額:
280,774,665円
騎手:
池上昌弘、 福永洋一、 武邦彦、 黛幸弘
主な勝ち鞍:
皐月賞
有馬記念
宝塚記念




主な産駒:
ダイゼンキング(阪神3歳S)
ミスターシービー(皐月賞、日本ダービー、菊花賞、天皇賞・秋)
アラホウトク(桜花賞)
サクラホクトオー(朝日杯3歳S)
パッショングショット(マイルチャンピオンシップ)
シスタートウショウ(桜花賞)
ダイイイチルビー(安田記念、スプリンターズS)
解説
 父に大種牡馬テスコボーイをもつトウショウボーイは生まれながらのエリートで、天性のすばらしいスピードを持つスターホースだった。同期のテンポイント、グリーグラスとともにTTGと言われ、一時代を築いた。また種牡馬として大成功し、安値の種付け料で生産地ではお助けボーイと言われ、三冠馬ミスターシービーを始め数多のGT馬を輩出した。
 

テンポイント

牡馬栗毛
1973〜1978
父:コントライト
母:ワカクモ
生産:
北海道早来
吉田牧場
馬主:高田久成
調教師:小川佐助
厩務員:山田幸守
通算成績:
18戦11勝
総収得賞金額:
328,415,400円
騎手:
鹿戸明
主な勝ち鞍:
阪神3歳S
天皇賞・春
有馬記念
主な産駒:


解説
 気品溢れる栗毛の馬体と鼻筋の流星が美しいテンポイントは、絶大な人気を誇った。昭和52年の有馬記念では、ライヴァル・トウショウボーイと大熱戦を繰り広げ、見事制した。その後、テンポイントは海外遠征に挑戦することになっていた。年明けの日経新春杯が、日本のファンへの最後のお披露目だった。冬の硬い馬場で66,5キロの重量を背負ったテンポイントは第4コーナーにさしかかったところで故障。一般紙でも報道され、世間は稀代のスターホースの安楽死を許さなかった。その是非を巡る大論争の中、懸命の治療が施されたが、3月5日、死亡。
 

マルゼンスキー

牡馬鹿毛
1974〜1997
父:Nijinsky
母:シル
生産:
北海道
橋本善吉
馬主:橋本善吉
調教師:本郷重彦
厩務員:石川漁一
通算成績:
8戦8勝
総収得賞金額:
76,601,000円
騎手:
中野渡清一
主な勝ち鞍:
朝日杯3歳S



主な産駒:
ホリスキー(菊花賞)
ニシノスキー(朝日杯3歳S)
スズカコバン(宝塚記念)
サクラチヨノオー(朝日杯3歳S、日本ダービー)
レオダーバン(菊花賞)
解説
 マルゼンスキーは、母親の胎内に入って輸入された、いわゆる持込馬で、クラシック(皐月賞、日本ダービー、菊花賞、桜花賞、オークス)への出走権がなかった。主戦騎手の中野渡清一が、“大外枠で賞金もいらないからダービーに出させてくれ”と言ったのは有名な話。世界的な血統と出走したレースでの一方的な勝ちっぷりは日本の競馬界に衝撃を与えた。
 

ミスターシービー

牡馬黒鹿毛
1980〜2000
父:トウショウボーイ
母:シービークイン
生産:
北海道浦河
千明牧場
馬主:千明牧場
調教師:松山康久
厩務員:
佐藤忠雄
通算成績:
15戦8勝
総収得賞金額:
409,598.100円
騎手:
吉永正人
主な勝ち鞍:
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
菊花賞
天皇賞・秋
主な産駒:



解説
 常に最後尾から追い込んで勝つという戦法で、鞍上の吉永正人とのコンビも相まって人気を呼んだシンザン以来19年ぶりの三冠馬。父トウショウボーイと母シービークインが同じレースでデビューしていたり、皇帝シンボリルドルフに一度も勝てなかったことなど、ドラマ性の強い競走馬生活を送った。
 

シンボリルドルフ

牡馬鹿毛
1981〜現在
父:パーソロン
母:スイートルナ
生産:
北海道門別
シンボリ牧場
馬主:シンボリ牧場
調教師:野平祐二
厩務員:
伊藤信夫
通算成績:
日本:15戦13勝
アメリカ:1戦0勝
総収得賞金額:
684,824,200円
騎手:
岡部幸雄
主な勝ち鞍:
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
菊花賞
有馬記念二回
天皇賞・春
ジャパンカップ
主な産駒:
トウカイテイオー(皐月賞、日本ダービー、ジャパンカップ、有馬記念)



解説
 ミスターシービーの次の年、史上初の無敗で三冠を達成した、史上4頭目の三冠馬。菊花賞後中一週でジャパンカップに挑戦し3着に敗れたが有馬記念に快勝。その後も勝ち続け、史上最多の七冠馬となり、“皇帝”と呼ばれ、日本競馬史上最高の競走成績を誇る。海外遠征したが、遠征先のレース中で故障し引退。種牡馬としても“帝王”トウカイテイオーを出した。
 

メジロラモーヌ

牝馬青鹿毛
1983〜現在
父:モガミ
母:メジロヒリュウ
生産:
北海道伊達
メジロ牧場
馬主:
有限会社メジロ牧場
調教師:奥平真治
厩務員:
小島浩三
通算成績:
12戦9勝
総収得賞金額:
311,920,100円
騎手:
河内洋、 柏崎正次、 小島太
主な勝ち鞍:
桜花賞
優駿牝馬(オークス)
エリザベス女王杯
主な産駒:


解説
 史上初めての牝馬三冠馬。しかも、トライアルレースも全て勝つという、完全な形で制した。重賞6連勝は現在でも日本記録。牡馬相手にはかなわなかったが、間違いなく歴史的名牝である。
 

オグリキャップ

牡馬芦毛
1985〜現在
父:ダンシングキャップ
母:ホワイトナルビー
生産:
北海道三石
稲葉不奈男
馬主:近藤俊典
調教師:瀬戸口勉
厩務員:
池江敏郎
通算成績:
地方:12戦10勝
中央:20戦12勝
総収得賞金額:
912,512,000円
騎手:
河内洋、 南井克巳、 岡部幸雄、 武豊
主な勝ち鞍:
有馬記念二回
マイルチャンピオンシップ
安田記念
主な産駒:


解説
 現在の競馬人気の立役者であり、日本中を巻き込む大フィーバーを巻き起こしたスーパースター。凄まじい差し脚で差し切ったマイルチャンピオンシップ。連闘で挑み、叩き会いの末、2分22秒2という驚異的タイムを出しながら敗れたジャパンカップ。もう終わったと思われていたのに、完璧な幕引きを演じた有馬記念。怪物は最後まで怪物だった。
 

メジロマックイーン

牡馬芦毛
1987〜現在
父:メジロティターン
母:メジロオーロラ
生産:
北海道浦河
吉田堅
馬主:
メジロ商事株式会社
調教師:池江泰郎
厩務員:
早川清隆
通算成績:
21戦12勝
総収得賞金額:
1,012,657,700円
騎手:
村本善之、 内田浩一、 武豊
主な勝ち鞍:
菊花賞
天皇賞・春二回
宝塚記念
主な産駒:


解説
 祖父にあたるメジロアサマは天皇賞馬。非常に受胎率が悪く、わずかな産駒しか残せなかった。しかしその中から天皇賞馬メジロティターンが生まれ、その仔からメジロマックイーンが生まれた。父系三代の天皇賞制覇は史上初。そして、世界初の獲得賞金10億円馬である。
 

トウカイテイオー

牡馬鹿毛
1988〜現在
父:シンボリルドルフ
母:トウカイナチュラル
生産:
北海道新冠
長浜牧場
馬主:内村正則
調教師:松元省一
厩務員:
東郁夫
通算成績:
12戦9勝
総収得賞金額:
625,633,500円
騎手:
安田隆行、 岡部幸雄、 田原成貴
主な勝ち鞍:
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
ジャパンカップ
有馬記念
主な産駒:



解説
 父と同じくダービーまで無敗で勝ち続け、無敗の三冠の期待がかかった。しかし、ダービーのレース中で骨折し、菊花賞は不出走。大阪杯で復活し、鞍上の岡部幸雄騎手に「地の果てまで伸びていく」と言わしめた。天皇賞はメジロマックイーンに完封されたが、ジャパンカップを圧勝。再び骨折し一年後有馬記念で復活。例のない一年のブランクを経てのGT制覇は、この馬のスター性のあらわれといえる。
 

ナリタブライアン

牡馬黒鹿毛
1991〜1998
父:ブライアンズタイム
母:パシフィカス
生産:
北海道新冠
早田牧場新冠支場
馬主:山路秀則
調教師:大久保正陽
調教助手:
大久保雅稔、 寺田雅之、 村田光雄
通算成績:
21戦12勝
総収得賞金額:
1,026,916,000円
騎手:
南井克巳、 清水英次、 的場均、 武豊
主な勝ち鞍:
朝日杯3歳S
皐月賞
東京優駿(日本ダービー)
菊花賞
有馬記念
主な産駒:




解説
 シンボリルドルフ以来10年ぶりの三冠馬。一戦ごとに強くなっていく様は圧巻だった。独特の走法が災いしてか、5歳時の阪神大賞典後に故障。結局その強さが戻ることはなかった。6歳時の阪神大賞典で、前年の年度代表馬マヤノトップガンと直線で演じた死闘は、平成8年度中央競馬のベストレースと言われる。一つ上の兄は1993年の年度代表馬ビワハヤヒデ。98年、わずか2世代の産駒を残して死亡。
 

タイキシャトル

牡馬栗毛
1994〜現在
父:デヴィルスバック
母:ウェルシュマフィン
生産:
タイキファーム
馬主:
有限会社大樹ファーム
調教師:藤沢和雄
通算成績:
13戦11勝
総収得賞金額:
320,010,000円
騎手:
岡部幸雄、横山典弘
主な勝ち鞍:
安田記念
マイルチャンピオンシップ二回
スプリンターズS
ジャックル・マロワ賞(仏GT)
主な産駒:



解説
 負けたレースは2着一回と3着一回。短距離のGTを総なめにし、1998年の年度代表馬にも輝いた。 クラシック・ディスタンスでの成績が重視される年度代表馬の選考において、画期的な出来事であった。何よりも、フランスのGTジャック・ル・マロワ賞の価値が高い。まさに日本最高の短距離馬だった。
 

タケシバオー

牡馬栗毛
1965〜1992
父:チャイナロック
母:タカツナミ
生産:
榊憲治
馬主:小畑正雄
調教師:三井末太郎
通算成績:
29戦16勝
総収得賞金額:
1,1365,429,000円
騎手:
畠山重則、中野渡清一、森安弘明、保田隆芳、古山良司、吉永正人
主な勝ち鞍:
朝日杯3歳S
天皇賞・春
スプリンターズS
主な産駒:
ハツシバオー(東京ダービー、東京大賞典、羽田杯、東京王冠賞)
ドウカンヤシマ(京成杯3歳ステークス、中山・金杯2回、函館記念、朝日チャレンジカップ、東京新聞杯



解説
 3歳6月に新潟でデビュー。デビュー戦、第2戦と連続2着も3戦目に勝ち上がり、次走3着の後は連勝街道に乗る。朝日杯3歳Sを勝って関東3歳チャンピオンになり、明けて東京4歳Sでは不良のダートながらレコード勝ち。弥生賞をライバルの一頭、後の菊花賞馬アサカオーに敗れるものの、1番人気で皐月賞に向かう。しかし皐月賞はマーチス、ダービーはタニノハローモニア、菊花賞は先のアサカオーに破れ、結局クラシックは一冠も取れなかった。だが、タケシバオーの真価は古馬になってから 現われる。東京新聞杯、オープン戦と立て続けにダートでレコード勝ち。京都記念(春)でタニノハローモニア、天皇賞(春)でアサカオーに雪辱すると、ジュライSではなんと65kgのハンデで圧勝。先の京都記念でも62kgを背負っており、どんな斥量でも跳ね飛ばす実力を持っていた。そして現在のスプリンターズSに相当する英国フェア開催記念を62kgの斥量でレコード勝ち。3200mの天皇賞・春から1200mのGI級レースまで圧倒的な実力を示し、万能の強さ・タフさから「怪物」の異名を与えられた。当時の一線級であるスピードシンボリなどとの直接対決があまりなかったとはいえ、今も古いファンには「史上最強馬」に上げる人も多い。ちなみに、ダート1700mのレコードタイムは2006年に塗り替えられるまで、(記録した東京競馬場でダート1700mのコース設定がなくなったとはいえ)37年間破られなかった日本レコードである。
 

テイエムオペラオー

牡馬栗毛
1996〜現在
父:オペラハウス
母:ウェルシュマフィン
生産:
杵臼牧場
馬主:竹園 正繼
調教師:岩元市三
通算成績:
26戦14勝
総収得賞金額:
1,835,189,000円
騎手:
和田竜二
主な勝ち鞍:
皐月賞
天皇賞・春二回
宝塚記念
天皇賞・秋
ジャパンカップ
有馬記念
主な産駒:





解説
 3歳デビューだが、初勝利は年が明けてから。条件戦を勝ち上がってから3連勝で重賞制覇、皐月賞制覇と続いた。ダービーはアドマイヤベガ、菊花賞はナリタトップロードと、4歳時はあくまで時代を担う三強の一角、でしかなかった。が、4歳最後の有馬記念でグラスワンダー・スペシャルウィークの3着に入り、次世代の最強馬候補として名乗りを上げた。翌2000年はまさに、テイエムオペラオーの年。8戦全勝、GT5勝と憎らしいほどに完璧な強さを発揮し、年度代表馬に選ばれた。翌年の初戦GU大阪杯で破れ、連勝記録はストップしたが、天皇賞・春を連覇。しかし衰えは隠せず、宝塚記念では、GTで5度もテイエムオペラオーの2着に敗れていたメイショウドトウについに先着を許し、秋のGT戦線でも2着2回と全盛期には及ばなかった。とはいえ、GT7勝は"皇帝"シンボリルドルフに並ぶ記録であり、この馬の完璧な安定感を揺るがすことは無いと言える。